内気な自分へのコンプレックス。
子供の頃から内気な性格だった私は、大学進学を機に「自分を変えよう」と思い立ちました。
しかし間違った方向への努力がうつ病の原因となってしまいました。
大学で体験した初めてのアルバイト
大学一年の時、自分を変えるために最初に始めたのは接客のアルバイトでした。
レストランのホールの仕事でしたが、運の悪いことにシェフが高圧的で気に入らないスタッフを虐める方でした。
自分以外のスタッフは皆ベテラン。
自分一人が上手く仕事を出来ていないという焦りで、かえって接客がぎこちなくなったり、オーダーミスをしてしまったり…。
それによりシェフに、強く叱責されたり、陰口を言われたり、名前をわざと間違えられたりするようになりました。
当時の自分は「上手く接客出来ない自分が悪い」と信じて疑わず、シェフの理不尽な言葉も全て真に受けました。
「悔しさをバネにして見返そう」と気持ちを切り替えて頑張りましたが、結局半年後に心が折れて退職することになりました。
「半年しかアルバイトが続かなかった」。
その事実は、元々低かった自分への自信が地に落ちるきっかけになりました。
サークルのリーダーに抜擢される
アルバイトが上手くいかず、別のことで自信を付けようとした私。
サークルの立ち上げ、イベントのリーダーに立候補、長期休暇を利用して住み込みのアルバイト、インターンシップや勉強会への参加…大学内、大学外の様々な活動に参加しました。
他人からアクティブに見られたいと思い、そのように振る舞う日々。
ですが無理は続きませんでした。
最初は朝起きれなくなり、一つひとつの行動をするのに時間がかかるようになりました。
その内一度横になると全身のスイッチが切れたようになり、数時間動けなくなる日が続きました。
その結果大学の講義に出席出来なくなり、大学二年の時はほとんどの講義の単位を落としてしまいました。
単位を落として留年そしてぼっちに
私は単位を落としてしまい、相当ショックな気持ちなりました。
不安と焦りが同時に襲ってきて、何もする気が起きませんでした。
私が当時感じた不安は以下の通りです。
親に伝えることが怖い
まず大学の資金を払ってくれていたのは親です。
留年したことを伝えることは、私にとって強いプレッシャーを感じていました。
来年は単位を取れるのだろうか?留年中私は何をしたらいいのか?そんなことばかり考えてました。
就職が不安
就職への影響はあるのだろうか?
そもそもアルバイトもまともにできなかった自分。
仮に就職出来たとしてもしっかりと務めることができるのか?
そんなことばかり考える日々でした。
友達と離れる
もちろん留年したということは友達と離れるわけです。
授業が被ることなんて少なくなるでしょう。
内気な私にとって、友達を作るのも苦手。
一番辛かったことかもしれません。
そんな不安から私は家に引きこもり、ゆううつ感に襲われ、当時の私は出口の見えない真っ暗なトンネルの中にいるも同然でした。
カウンセラーさんとの出会い
大学三年の時、「自分はうつ病なのではないか」と思い心療内科に足を運びました。
病院では先生による診察に加え、院内で心理カウンセラーさんによるカウンセリングを受けることになりました。
カウンセラーさんは少し年上の女性で、とても気さくな方でした。
カウンセリングというと「親身になって話を聴いてもらう」というイメージがありましたが、雑談を交えてリラックスして話が出来ました。
何回目かのカウンセリングで、カウンセラーさんに指摘してもらったことが私の人生を変えました。
カウンセラーさんはこう言いました。 「○○さん(私)は目的志向だね。
将来のため目的や目標に向かって努力しようという気持ちが強い。
でもたまには、今の楽しみを優先する“快楽主義”も大事だよ。」 その言葉は自分の中にすとんと落ちました。
「内気で、引っ込み思案で、消極的なままだと就職活動が上手くいかない。
就職してからも上手く働けないに違いない。
将来のためにはもっと社交的にならないと。
そうした焦りで、常に“将来のために”と考えて行動する癖が付いていました。
「怠けているだけ」と思わず、今の自分が楽しむことを許す。
そうしようと思っても最初は自分のしたいことすら分かりませんでした。
時間をかけて趣味を見付け、心のバランスが上手く取れるようになりました。
自分に合った職種での就職
体調を崩していた影響で留年しましたが、大学五年生を経て大学を卒業することが出来ました。
自分の悪い癖が出て、最初は「苦手な職種に挑戦しよう」と営業職での就職を考えました。
ですが就職アドバイザーの方のアドバイスで、金融系の会社の総務職の求人に応募しました。
ありがたいことに内定を頂き、大学の同級生から遅れて就職した私。
職場では「飲み込みが速い」「電話応対が丁寧」「気配りが出来る」など上司や先輩にお誉めの言葉を頂きました。
学生時代の接客のアルバイトでの失敗により、「どんな仕事も上手くいかないはず」と思い込んでいました。
ですがそんな私にも比較的向いている仕事はありました。
最後に
一度うつ病になったことで、発症から数年経った今でもストレスがかかると体調を崩してしまいます。
そんな時には薬の力を借り、支障を減らしながら生活を送っています。
心がけているのは、「合う環境を選ぶこと」「合わない環境から逃げること」です。
仕事で辛いことがあったら早めに上司に相談する。 どうしても耐えられない時は仕事を辞める。
その結果転職回数が多く、他の人からすると誉められた人生ではないと思います。
それでも無理なく長く頑張ることを優先した結果なので、自分では納得しています。
自分のキャパシティーを知り、キャパシティーに合わせた頑張り方をする。
余裕があれば徐々にキャパシティーを広げていく。
それが、私が紆余曲折の末に気付いたことです。