漫画「夏目アラタの結婚」は、映画化も決定した人気作。乃木坂太郎先生によって連載されている作品です。本記事では、物語の全体像を把握するために、最終話や結末に至るまでのネタバレが含まれています。もしまだ本作をお読みになっていない方がいらっしゃる場合は、ここで紹介される内容を事前にご確認の上、ネタバレを避けてからお楽しみいただくことをお勧めします。物語の詳細やクライマックスを知りたくない方は、どうぞご注意ください。
【夏目アラタの結婚】あらすじ
こないだ漫画原作実写案件で挙げた「夏目アラタの結婚」の主役カップルも、相対的にカタい主人公夫(児童相談所職員)がスミベタでアンモラルな妻(殺人容疑で長く拘禁中)がシロヌキ。これは漫画的な表現であり実写じゃできない…なんで留置中に髪を脱色できるんだとなり、コントラストが消えてなくなる pic.twitter.com/wxqiJUEP6X
— インクエッジ (@02Curry) August 29, 2024
これは、最も一線を越える「結婚」!! 児童相談所に勤務する夏目アラタは、結婚に夢など抱いていない30代・独身。彼はある日、担当児童・卓斗から「父を殺した犯人に代わりに会って欲しい」という依頼を受ける。犯人の名は品川真珠。【品川ピエロ】と呼ばれる有名連続殺人犯だった…!!
【夏目アラタの結婚】作品情報
タイトル
夏目アラタの結婚
著者
乃木坂太郎
巻数
全12巻
カテゴリ
青年マンガ
出版社
小学館
レーベル
ビッグコミックスペリオール
掲載誌
ビッグコミックスペリオール
【夏目アラタの結婚】概要
児童相談所職員の夏目アラタ
ある日、児童相談所職員の夏目アラタは、「連続バラバラ殺人事件」の第3の被害者となった男性の息子、卓斗を訪ねます。そこで彼から思いもよらない事実を打ち明けられます。卓斗は、父親を殺した犯人「品川ピエロ」との間で、アラタの名前を騙って文通をしていたと言うのです。この知らせに驚きつつ、アラタは卓斗の痛みを感じ取り、なんとか彼の力になろうとします。
卓斗は、父親の遺体がまだ全て発見されていないことに胸を痛めており、その一部をどうにかして見つけたいと強く願っていました。その願いをアラタに託された彼は、仕方なく、連続殺人犯である品川真珠、通称「品川ピエロ」との面会を決意します。
逮捕当時の品川真珠は、太ったピエロの衣装に身を包んだ異様な姿で人々の記憶に残っていました。アラタも、そんな恐ろしいイメージを抱きながら刑務所を訪れます。しかし、面会室に現れた真珠は、彼の予想を大きく裏切ります。彼女は、逮捕時のイメージとはまるで異なる、華奢で可憐な女性でした。その姿にアラタは驚愕します。
アラタとの面会
初めての面会で、真珠はすぐにアラタが文通相手ではないことに気づきます。彼女はそれを理由に面会を拒否しようとしますが、焦ったアラタは思わず「俺と結婚しよう!」と口走ってしまいます。その突拍子もない発言が真珠の興味を引き、彼女はアラタとの面会を再び受け入れることにしました。
再び面会を始めた真珠は、巧妙に会話を進めながら、アラタの真意を探り始めます。彼女はアラタの結婚の提案が本気かどうかを確かめようとし、一方のアラタは、真珠から被害者の遺体の隠し場所を聞き出し、早くこの関係を終わらせたいと考えていました。しかし、状況は彼の思惑通りには進まず、彼らの関係は次第に複雑なものになっていきます。
夢で遺体を埋めた場所を見た
その後、アラタは真珠の私選弁護人である宮前光一と接触し、真珠との面会も徐々に増えていきます。彼は真珠の裏に隠された真意を探ろうとしつつも、自分の中に芽生える感情に戸惑いを覚えます。ある日、アラタは一度は真珠との「結婚」話から手を引こうと決意しますが、直後に真珠が「夢で遺体を埋めた場所を見た」と不気味に語り、それをきっかけに再び関係を続けることを決めます。
やがて、真珠の言葉通りに最初の被害者の遺体が発見され、アラタは被害者の遺族から感謝の言葉を受けます。しかし、その一方で、彼の周囲からの圧力も強まります。児童相談所の所長や同僚たちは、殺人犯との関係を続けることに強く反対し、アラタにその関係を断つよう説得します。
しかし、アラタ自身も自分の中で芽生えた新しい感情に気づき始めます。最初は単に職務として真珠に近づいたつもりが、次第に彼女のぎこちない笑顔に心を惹かれている自分に気づいたのです。真珠の持つ犯罪者としての冷酷さと、その奥に見える純粋さ、そして脆さが交錯する複雑な人間性に、アラタは次第に引き込まれていきます。彼の心は、この危険な関係の中で揺れ動き続けるのでした。
【夏目アラタの結婚】ネタバレ感想
ミステリーと心理戦
漫画「夏目アラタの結婚」の魅力は、ミステリーと心理戦が巧みに絡み合い、読者を引き込む点にあります。まず、主人公の夏目アラタと犯人である品川真珠の独特な関係性が物語の中心に据えられており、二人の緊迫した駆け引きが絶妙です。真珠がただの冷酷な殺人鬼ではなく、内面に複雑な感情や背景を持つキャラクターとして描かれているため、彼女の意図を読み解こうとするアラタとのやり取りは、読者に緊張感をもたらします。
また、この作品は、単なる犯罪ミステリーにとどまらず、人間の感情や倫理に関する深いテーマを探求しています。アラタが殺人犯と関わりながらも、次第に真珠に対して特別な感情を抱く様子は、道徳的なジレンマを引き起こし、読者に問いかける要素が含まれています。彼の心の葛藤や、周囲の圧力にどう向き合っていくのかという展開は、単なる事件解決以上のドラマ性を持っています。
真珠の外見と内面のギャップ
さらに、真珠の外見と内面のギャップも魅力の一つです。逮捕時の異様なピエロ姿と、その後に明かされる可憐な姿は、読者の予想を裏切り、彼女に対する興味を高めます。彼女が何を考え、どのような過去を持っているのかという謎が深まることで、物語の展開に引き込まれます。
最後に、物語の進行に伴って徐々に明かされる真珠の過去や、彼女が何故そんな残虐な犯行に及んだのかという背景が、読者に衝撃を与えます。複雑なキャラクター造形と、息を呑むような展開が絶妙に組み合わさったこの作品は、単なるサスペンスにとどまらない、深い人間ドラマとしての魅力を持っています。
【夏目アラタの結婚】おすすめ読者
漫画「夏目アラタの結婚」は、特に心理戦やミステリーの要素を楽しむ読者におすすめです。登場人物同士の緻密な駆け引きや、隠された真実を探る過程が描かれ、ミステリー好きにはたまらない展開が続きます。特に、主人公のアラタと犯人である品川真珠との間で繰り広げられる頭脳戦は、読者の興味を引きつけるでしょう。
また、複雑なキャラクターの内面に惹かれる読者にもおすすめです。品川真珠は単なる犯罪者ではなく、彼女の外見や行動と内面とのギャップが大きく、その背景や心理が物語を通じて徐々に明かされていきます。善悪の単純な区別ができないキャラクターに興味がある読者には、深い探求が楽しめるでしょう。
道徳や倫理に関するテーマに関心がある読者にも適しています。物語は、アラタが殺人犯である真珠と関わることで道徳的な葛藤や人間としての倫理観を深く問いかけます。罪と罰、そして人間の本質について考えさせられる内容が含まれており、倫理的な問題に興味を持つ読者にとって、読みごたえのある作品です。
サスペンスと人間ドラマが融合した物語を楽しみたい読者にもこの漫画は魅力的です。単なる犯罪解決のストーリーにとどまらず、キャラクターたちの複雑な人間関係や感情の動きが描かれ、サスペンスとドラマの両方を堪能できます。人間ドラマの深みを求める読者には特におすすめです。
さらに、社会問題や犯罪に関心がある読者にも響く内容が含まれています。連続殺人事件やそれに関連する社会的なテーマが描かれ、現実に近い問題としても考えさせられます。犯罪や社会問題に対する関心を持つ読者には、この作品が興味深い読み物となるでしょう。
【夏目アラタの結婚】最終話や結末話は
品川真珠の裁判の結果
品川真珠の裁判の結果について、彼女は最初の審理で自殺幇助と殺人罪に問われ、懲役11年の判決を受けました。しかし、彼女はこの判決に納得せず、控訴した結果、二審では刑期が12年に延ばされました。最終的に上告は却下され、彼女の懲役12年が確定し、刑務所に送られることとなりました。
『殺人鬼・品川ピエロ』と呼ばれた真珠の内面に多くの人が興味を持ちましたが、刑務所内での彼女の様子についてはほとんど描かれていません。ただし、真珠が夏目アラタに会いたいという強い思いから、模範囚としておとなしく過ごしていた可能性が高いと考えられています。有名な犯罪者であったことから、刑務所内で目立たないようにしていたのかもしれませんが、そのためにいじめの標的になっていた可能性もあります。
9年後
そして、9年が経過した後、真珠は刑務所を出ます。ある日、沙菜は夫のミツルと娘のサクラを連れて車で移動している最中、突然車を止めるように頼み、焦った様子で車を降ります。彼女は真剣な表情で買い物中の女性に歩み寄りました。その女性こそ真珠でした。
沙菜は、検事から12年の刑が妥当だと聞かされていたため、真珠が9年で出所したことに不満を抱き、その怒りを真珠にぶつけます。彼女は、「模範囚だったからといって、こんなに早く出られるのは納得できない」と強い口調で言います。これに対して、真珠は冷静に「これは仮釈放だから、まだ刑は終わっていない」と説明しました。
普通の男性と結婚
沙菜は食い下がり、「刑が終わっていないなら、週刊誌に住所を晒されても、それが償いになるんじゃないの?」と追及します。彼女自身、その言葉に罪悪感を覚え、複雑な表情を浮かべます。
真珠は、今は普通の男性と結婚して、スーパーの惣菜コーナーで値引きを待つような質素な生活をしていると語ります。この生活は、かつて沙菜が真珠に対して、幸せになることを許さず、質素に生きて償うよう求めたものでした。しかし沙菜は「そんな表面的な償いをしてほしいわけじゃない」と声を震わせます。
沙菜は、自分に娘ができたことで命の尊さを強く感じるようになり、どのような事情があったとしても、人の命を奪うことは許されないと真珠に告げます。真珠は、子どもを持ちたいとは思わないものの、命の大切さは理解していると応じました。彼女は、かつてアラタが事故で死にかけたとき、強烈な孤独感に襲われた経験を語り、子どもを持つ代わりに、自分から生まれる歌や絵が素敵だと感じるようになったと話します。そして、「この素敵な気持ちは、いずれ自分を一生苦しめることになるから、安心して」と言い残し、沙菜はその場を後にしました。
おかえり
その後、沙菜は涙を流しながら、「兄を死ぬまで追い詰めた私が本当に償うべきことは、真珠を許すことなのだろうか?」と自問します。
真珠のその後の生活も描かれています。彼女は家に帰ると、炊飯器で米を炊き、風呂掃除を終えてから、コタツに入ってみかんを食べ、リラックスしています。新聞配達員のおじさんを「おとーさん」と呼び
「またみかんちょうだい」とメッセージを送るなど、静かでのどかな日々を過ごしています。そんな中、主任に昇進して忙しくなり、帰りが遅くなったと愚痴をこぼしながらアラタが帰宅します。家の表札にはアラタと真珠の名前が並んでおり、真珠は笑顔で「おかえり」と彼を出迎えます。ここで物語は幕を閉じます。
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