ジャンプの次世代バトル漫画として注目を集める『カグラバチ』。緻密なバトル描写や独特な世界観、そして緊迫感あふれる展開が魅力の本作だが、読者の間ではある一点において賛否が分かれている――それが「女性キャラの描写の弱さ」だ。中には「女キャラがとにかく下手」「美女が全然可愛くない」といった厳しい声も多く、ネットでは「作者は女キャラを描くのが苦手なのでは?」という見方さえ広がっている。
確かに『カグラバチ』では、男性キャラのビジュアルや存在感には力が入っている一方で、女性キャラは驚くほど印象が薄く、ビジュアル面でも記憶に残らない。果たしてそれはキャラ造形の問題なのか、それとも単純に画力の問題なのか? 本記事では、女性キャラの“描けなさ”が作品にもたらす影響を探りつつ、『カグラバチ』の現在の課題について掘り下げていく。
【カグラバチ】女キャラが下手!
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カグラバチに足りない“華”
今もっとも注目を集めている新世代バトル漫画『カグラバチ』は、剣技と呪術が交差する独特の世界観、緻密な戦闘描写、そして復讐に燃える主人公チヒロの鬼気迫る姿勢で、週刊連載において一躍話題作となった。しかしその勢いとは裏腹に、読者の一部から「女性キャラに魅力がない」「印象に残らない」との指摘も少なからず上がっている。華やかさや多様性を補うはずの女性キャラが、なぜこれほどまでに存在感を欠いているのか。その問題点を探ってみたい。
男たちだけで構築された世界
まず指摘すべきは、物語全体が男性キャラ主導で進行している点である。主人公チヒロをはじめ、敵味方を問わず主要人物のほとんどが男性で構成されており、その関係性や因縁によってドラマが動いていく。
これは『カグラバチ』のストイックで硬派な雰囲気を強調する意図かもしれないが、結果的に世界観が閉鎖的で、感情の幅が狭くなっていることは否めない。
数少ない女性キャラは存在しているものの、彼女たちは戦力としてもストーリー上の軸としても中心に据えられておらず、印象が極めて薄い。どのキャラも深掘りがされておらず、キャラクターの背景や信念、人間性が見えてこないため、読者が共感したり応援したくなったりする感情が芽生えにくい。
ビジュアルもキャラ造形も平板
好みはありますがビジュアル的にも女性キャラは際立っていない。キャラクターデザインが地味で、個性を感じにくい点は、ジャンプ読者層が求める“推せる存在”としては致命的だ。
『呪術廻戦』の釘崎野薔薇や『チェンソーマン』のマキマのように、強さや魅力が一瞬で伝わるキャラ造形とは大きな差がある。これが作品全体に「男性読者しか見ていない」という印象を与えてしまい、読者層の広がりにもブレーキをかけている。
作品の深みを支えるピースが足りない
『カグラバチ』は、バトル漫画としての地力は高く、アクションや設定面での完成度も申し分ない。しかし、長期的に物語を展開していくうえでは、感情の揺らぎや関係性の多様性が必要不可欠であり、それを担う存在としての女性キャラは明らかに足りていない。
もし今後、魅力的な女性キャラが登場し、彼女たちが物語の中で能動的な役割を担うようになれば、作品としての厚みや奥行きも一段と増すだろう。
『カグラバチ』が今後さらに飛躍していくためには、バトルの強さだけではなく、“誰のために戦うのか”“誰と心を通わせるのか”というドラマの部分がより重視される必要がある。その鍵を握るのは、まだ登場していない“魅力ある女性キャラ”なのかもしれない。
【カグラバチ】画力が足りず美女が描けない?
女性キャラを活かせない作風
『カグラバチ』は、圧倒的な戦闘描写と殺気立った世界観でジャンプ読者の注目を集めている新鋭バトル漫画だ。主人公・チヒロの復讐に燃える眼差し、刀に込められた力で重厚な戦い……そのどれもが鮮烈で、作者の「得意分野」が明確に伝わってくる。
しかし同時に、読み進めるほどに浮き彫りになるのが「女性キャラがまったく印象に残らない」という事実である。単に登場頻度が少ないというだけでなく、そもそも作者が女性キャラを描くことに慣れていない、あるいは関心が薄いのではないかと思わせるほど、女性という存在に対して筆が鈍っているように見えるのだ。
「出すには出すが、空気――背景と化す女性たち」
『カグラバチ』における女性キャラの多くは、“いてもいなくても変わらない”立ち位置にとどまっている。名もなき通行人のように登場しては、会話の潤滑油になるだけで物語の核には関わってこない。戦闘力のあるキャラであっても、それが物語の緊張感を左右するほどの力として描かれることは稀で、印象が極めて薄い。まるで「女性キャラを入れるべきだという形式的な理由」で登場させられているようにさえ感じるのだ。
こうした状況を見るに、作者は明らかに男性キャラの造形や関係性に注力しており、対して女性キャラに対しては「どう描けばいいか分からない」という迷いがあるのではないかと疑いたくなる。感情の深さ、内面の葛藤、人間関係の機微――そういった面に女性キャラを介して物語を膨らませることができていないため、作品にどこか硬さが残ってしまっている。
女性らしさではなく“人間らしさ”を描けるかが鍵
決して「色気」や「萌え要素」が必要だというわけではない。むしろ、昨今のジャンプ作品においては、芯の通った女性キャラや、人間味のある描写こそが求められている。たとえば『スパイファミリー』のヨルのように、殺し屋でありながら家庭を守ろうとする不器用な母としての姿に読者は親しみを抱くし、『僕のヒーローアカデミア』の八百万百のように、冷静さと不安の間で揺れる姿に人間らしさを感じる。
だが『カグラバチ』では、そうした“人としての厚み”を女性キャラに持たせる余地が、そもそも設計段階から想定されていないように見える。
これは「女性キャラが弱い」ではなく、「女性キャラを描くのが苦手」という表現がより正確かもしれない。苦手ゆえに避け、避けるからこそ物語における感情のバリエーションが狭まり、結果として“冷たく”“硬い”作品印象に繋がっているのだ。
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