「自分は面白い。それだけで足りるはずだった」売れない芸人・遊星を中心に描かれる漫画「巡る遊星」。高校時代、文化祭で脚本を書いた演劇が優勝し、才能を認められた彼は、そのままお笑いの世界へ進むも、現実は甘くありません。
この記事では、遊星の行く末と彼を巡る人々の運命について、物語の核心に迫りながらネタバレ感想をお届けします!
【巡る遊星】あらすじ
【巡る遊星】
この男、クズ芸人につき。
「ODD FUTURE」の中島佑が贈る
鮮烈な連載デビュー作、
ついにコミックス第1巻発売!ぜひ巡るめく群像劇を
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— となりのヤングジャンプ (@tonarinoyj) November 19, 2024
その男の名は遊星。まもなく30歳を迎える売れない芸人。高校時代の同級生・松島に誘われて、お笑いトリオを組んだが鳴かず飛ばずで、今は元カノ・美加理の家でヒモ生活を送っていた。そんなどうしようもない遊星の日々が、あるきっかけから歪み始め、周囲の人間関係が絡まり、もつれ始める…。 巡る巡るよ、因果は巡る。“事故多発”人間交差点。
【巡る遊星】作品情報
タイトル
巡る遊星
著者
中島佑
カテゴリ
青年マンガ
出版社
集英社
レーベル
となりのヤングジャンプ
【巡る遊星】ネタバレ感想
「巡る遊星」の魅力は、主人公・遊星という一筋縄ではいかない人物と、彼を取り巻く複雑な人間模様が絶妙に絡み合い、読者を引き込む物語にある。この漫画は、表面的には「売れない芸人の話」と見えるかもしれないが、それ以上に深く、「自己の価値観」や「人間関係の歪み」を描き出したリアルな人間ドラマとして際立つ作品だ。
遊星は極めて魅力的なアンチヒーロー
主人公の遊星は極めて魅力的なアンチヒーローだ。彼の持つプライドの高さや自己中心的な性格は、確かに「問題あり」と言える。
しかし同時に、彼の中には「一人でいることの怖さ」や「自分が信じる面白さを追求したい」という普遍的なテーマが宿っており、読者としては完全に否定することもできない。
自分が認められたいという欲望と、それが叶わない現実とのギャップを抱える姿は、誰しもがどこかで共感できる部分だろう。この「共感と反発」が絶妙なバランスで描かれていることで、遊星というキャラクターが読者を強烈に惹きつけるのだ。
遊星を取り巻く人々の描写の魅力
この作品の魅力は、遊星を取り巻く人々の描写にもある。元カノの美加理との微妙な共依存的関係、高校時代の同級生である松島との友情と憎しみが入り混じったようなパートナーシップ、そして友人たちが抱えるそれぞれの問題――こうした人間関係が、物語にリアルな奥行きを与えている。
特に、遊星が自分の価値観を押し付ける傲慢さや、自分の殻に閉じこもりがちな一方で、どこかで「変わりたい」と葛藤している様子は、彼を単なる「痛いキャラクター」に終わらせていない。この作品は、彼と周囲の人々がどのように影響し合い、どう変化していくのかを丁寧に描くことで、人間ドラマとしての完成度を高めている。
物書きとしての才能が秀逸
遊星の「物書き」としての才能や可能性が、彼の未来をどう切り開くのかも見どころだ。芸人としては評価されないものの、YouTubeの怪談台本を書いたり、自分の表現を模索する彼の姿には、一筋の希望が感じられる。
しかし、これが成功へと繋がるのか、それともまた別の方向へ進んでしまうのかは、まだ読めない。物語が進む中で、遊星がどのように自分を見つめ直し、どこへ向かっていくのか――その行き先に興味が尽きない。
この漫画は「お笑い」というテーマを軸にしつつも、それに縛られることなく、遊星という主人公の生き様と、彼を巡る人々の関係性を通して、「人間とは何か」「人生とは何か」といった普遍的なテーマに挑戦している。
ジャンルとしては群像劇に近いが、型に囚われない自由な物語展開が魅力的であり、予測不可能なストーリーにワクワクさせられる。読者それぞれが自分の価値観でこの物語を解釈し、共感するキャラクターやシーンを見つけられる、奥深い作品だと言えるだろう。
「巡る遊星」は、表面的な成功や失敗だけでは語り尽くせない人生の苦味と希望を描いた物語だ。遊星の行き着く先、そして彼の周囲にどんな因果が巡り、どんな結末を迎えるのか――そのすべてが気になって仕方がない。今後の展開に目が離せない、珠玉の人間ドラマだ。
【巡る遊星】おすすめ読者
漫画『巡る遊星』のおすすめ読者は、以下のような特徴を持つ人たちです。この作品が持つ多層的な魅力に共感できるポイントが多く含まれています。
人間ドラマが好きな人
『巡る遊星』は、主人公・遊星の葛藤だけでなく、彼を取り巻く人々の人生や人間関係の絡み合いが丁寧に描かれています。そのため、人間の複雑な感情や、日常の中で起こるリアルなドラマを楽しめる人にはピッタリです。たとえば、吉田修一や伊坂幸太郎の小説のような群像劇が好きな人、映画『万引き家族』や『パラサイト』のようなテーマ性のある作品に惹かれる人には特におすすめです。
自分の人生に葛藤を抱える人
売れない芸人として「夢を追い続けるべきか」「現実と折り合いをつけるべきか」と苦しむ遊星の姿は、夢と現実の狭間で悩む人に強く響くでしょう。進路に悩んでいる人、過去に追い求めていた目標を諦めた経験のある人、また現在も自分の生き方に迷いを抱えている人には共感する場面が多いはずです。
社会的なテーマに関心がある人
『巡る遊星』は、ただの「売れない芸人の話」ではありません。周囲の人間関係が歪み、不協和音が生じる中で、「孤独」「依存」「自己実現」など、現代社会が抱えるテーマが浮き彫りになります。そうした社会的なメッセージを考えながら作品を楽しみたい人にもうってつけです。
アンチヒーローが好きな人
主人公・遊星は、共感できる部分も多い一方で、決して「正統派ヒーロー」ではありません。自己中心的で、人間関係の不器用さや傲慢さが目立つキャラクターですが、そんな「欠点だらけの主人公」が物語の中でどう成長していくのかを見届けたいという人にとっては、たまらない作品です。
キャラクターの心理描写に興味がある人
遊星をはじめ、登場人物たちの内面がリアルに描かれているため、キャラクターの心理を掘り下げて読み解くのが好きな人にもおすすめです。登場人物の一見矛盾した行動や感情が、丁寧に描かれることで物語に厚みを与えています。
ジャンルに縛られないストーリーを楽しみたい人
『巡る遊星』は、「お笑い」や「夢を追う話」という枠に収まらず、さまざまなテーマを扱っています。そのため、ジャンルにこだわらず、自由に物語を楽しみたい人、次に何が起きるかわからない予測不能な展開が好きな人には非常に向いています。
シリアスで現実感のある作品が好きな人
ファンタジーやSFといった非現実的な要素ではなく、現実の人間模様や日常に基づいた物語を楽しみたい人には最適です。少し暗めのトーンやシリアスな描写も含まれますが、それが物語に深みを与えているため、深刻なテーマをじっくり味わいたい人にも響くでしょう。
『巡る遊星』は、「夢を追う人の物語」というシンプルなテーマに見せかけながら、実は孤独や葛藤、人間関係のもつれといった普遍的なテーマを深く掘り下げた物語です。登場人物のリアルな人間性や、予測不能な展開を楽しめる読者にぜひおすすめしたい一作です。遊星の行く末を見守りながら、自分自身の人生についても考えさせられる――そんな体験ができる作品です。
【巡る遊星】ネットの声
主人公の遊星が友達との会話中に発せられた「つまんないと思われることより怖いことなんてこの世にない」という言葉から物語が始まります。遊星は売れない芸人でありながら、脚本の才能に優れており、自分以外の他人に興味関心が希薄な人間の変化が面白い。
游星は他人に流されず自分が面白いと信じるものを作品とするクリエイターであるという性格が今後どのようになっていくか実物。
今後のストーリーで遊星がつまんないと思われる可能性に葛藤する展開はあると予想しているのですが、その展開の向き合い方をどう描くか楽しみです!
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【巡る遊星】最終話や結末話は
漫画「巡る遊星」はまだ完結しておりません。
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