漫画『スマイリー』の最終章。これまで狂気と信仰、そして復讐が絡み合った壮絶な物語を紡いできた本作も、ついに最終巻を迎えます。柴崎光一と鴨目恵、狂信集団・心笑会に人生を翻弄され、全てを奪われた二人が、静かに、しかし確実に復讐を計画し、最終章ではその全貌が明らかに。
教団を揺るがす「継承の儀」の当日、信仰の象徴であり政党の顔でもある笑光が信者の前で首を切るという衝撃的な展開。そして、柴崎と鴨目がその瞬間にどのような復讐を果たすのか。果たして、この物語は本当に「終わる」のか、それとも「始まり」の予感を残すのか。
【スマイリー漫画】あらすじ
【お知らせ】
11/19週刊漫画ゴラクにて新連載『スマイリー』始まりました。新興宗教サスペンスとなっております。
何卒宜しくお願いいたします😄 pic.twitter.com/wuZTrbAq0Z— 服部未定😄 (@mitei_hattori) November 18, 2021
漫画「スマイリー」の主人公は笑顔が嫌いなジャーナリスト・鴨目友司。会社には大したネタを持ち込めず編集長からぞんざいに扱われる日々を送っていた。いよいよ貯金も底をつきそうなある日、鴨目の家に「心笑会」という宗教の勧誘が来る。宗教勧誘と気味が悪い笑顔に翻弄される鴨目友司は思わず怒鳴りつける。しかし渡されたパンフレットの中、自分の妻が写っていたのだ。この写真をきっかけに宗教に潜り込み、妻を探し出すという物語。
【スマイリー漫画】作品情報
スマイリー
著者
服部未定
カテゴリ
青年マンガ
出版社
日本文芸社
レーベル
漫画ゴラク
掲載誌
週刊漫画ゴラク
【スマイリー】最終章ネタバレ感想
漫画『スマイリー』最終章の魅力は、その緻密に組み上げられたストーリーと、極限まで張り詰めた狂気の描写にあります。本作では、人間の絶望と執念が信仰という名の狂信と絡み合い、読者を息を呑む展開へと引き込みます。
狂気的な存在
まず、物語の核となる「心笑会」という教団の存在が特筆すべき点です。この集団はただの宗教組織ではなく、政治や社会に根深く侵食し、個人の自由と理性を奪い去る機関として描かれています。
その中で、教団の象徴に仕立て上げられた光一と、彼の妻として取り込まれた鴨目恵が、静かに復讐の計画を練る姿が非常に印象的です。狂気的な教団に抗う二人の姿は、ある種の反抗の美学を感じさせます。
継承の儀での衝撃
物語のクライマックスである「継承の儀」の描写が圧巻です。教祖・笑光が、後継者である笑太にその役目を譲る儀式の最中、自ら首を切るという衝撃的なシーン。
信者たちの驚愕と崩壊する教団の様子が、鮮烈かつ不気味なまでにリアルに描かれています。この場面は、物語の緊張感を極限にまで高めると同時に、宗教というシステムの虚構性や脆さを象徴的に表現していると言えるでしょう。
継承の儀での衝撃
最終章では鴨目の個人的な悲劇が物語全体の重厚感をさらに高めています。教団によって娘と妻を失った彼の絶望と憎しみが、静かに、しかし確実に復讐心へと形を変えていく過程が丁寧に描かれており、読者としてもその復讐を応援したくなる感情を掻き立てられます。
彼の計画は単なる復讐ではなく、教団という巨大な狂気そのものを破壊する試みであり、その点が物語に深みを与えています。
狂気に狂気で対抗
狂気に狂気で対抗するというテーマも、この作品を象徴する要素の一つです。『スマイリー』の世界では、狂気は単なる破壊や暴力だけでなく、人間の内面の暗部や矛盾を映し出す鏡として機能しています。
その狂気の中で、光一と鴨目恵が見せる「計算された狂気」は、彼らの冷静さと意志の強さを際立たせる要素として描かれています。
救いのない世界
最終章を通じて感じられるのは、救いのない世界においても人間が自身の信念や意志をもって抗おうとする姿の美しさと悲哀です。絡み合う思惑の中で、果たして何が正義で何が悪なのか、生き残る者たちが背負うものは何なのかという深いテーマが心に響きます。
『スマイリー』は、単なる狂気の描写にとどまらず、人間の執念や信仰、復讐といった普遍的なテーマを練り上げた作品であり、その奥行きのあるストーリー展開が、多くの読者にとって忘れがたい作品として心に刻まれることでしょう。
【スマイリー】最終巻はどうなる
最終巻の予告に書かれていた『全てが終わり、全てが始まる』という言葉は、この物語の核心を象徴する非常に興味深い一文です。この一文が示唆しているのは、物語が一つの終焉を迎えると同時に、そこからまた新たな展開や未来への希望が芽生える可能性があるという二重の意味を孕んでいるように思われます。物語の中で数々の衝突や対立、そして失われたものや犠牲が積み重なる中で迎えるクライマックスが、どのようにして「終わり」として描かれ、その後に続く「始まり」と結びつくのかという点は、読者にとって大きな期待と関心を抱かせる部分ではないでしょうか。
例えば、物語の終盤では主要キャラクターたちの葛藤や復讐劇が一つの結末を迎えることで「終わり」が表現されるかもしれません。しかし、その「終わり」は単なる破壊や悲劇としての終焉ではなく、そこから生まれる新たな秩序や希望を示唆する「始まり」への伏線として機能している可能性があります。このような二面性を持つ構成は、多くの読者にとって非常に感慨深く、また物語の余韻を長く楽しむことができる仕掛けとなっているでしょう。
さらに、この予告にある『全てが終わり、全てが始まる』という表現は、物語全体が張り巡らせてきた伏線やテーマがどのように回収されるのかを期待させるものでもあります。登場人物たちがそれぞれの思惑を抱えながら進んできた物語の中で、どのようにしてその結末が形作られるのか。そしてその結末が、物語全体に通底する「狂気」と「救済」、「信仰」と「復讐」といったテーマをどのように描き出し、読者に新たな視点や問いを投げかけるのかが、この予告の言葉に込められた大きな意味合いではないでしょうか。
こうした『全てが終わり、全てが始まる』という一文が最終巻にどのように繋がり、物語の中でどのように表現されるのか。その解釈や展開を想像するだけで、物語のクライマックスにどれほどのドラマ性が詰め込まれているのかを感じさせる予告文だと言えます。読者にとっては、これまでの全ての出来事がどのようにして収束し、そしてその果てにどのような新たな世界や未来が広がっていくのかを見届けることが、この物語を最後まで追い続ける上での大きな楽しみとなることでしょう。
【スマイリー】おすすめ読者
漫画『スマイリー』は、その濃密な心理描写と狂気をテーマにしたストーリーから、特定のジャンルやテーマを好む読者に特におすすめです。以下のような読者にぴったりの作品と言えるでしょう。
緊迫感のあるサスペンスや心理戦が好きな人
『スマイリー』の物語は、人間の心理を深く掘り下げ、信仰や復讐に囚われた登場人物たちの葛藤が絶妙に描かれています。宗教的狂信に絡め取られた人間が、静かに計画を練り、逆転を目指す様子は、サスペンスの醍醐味を存分に味わえる展開です。「進撃の巨人」や「DEATH NOTE」のように、一瞬たりとも目が離せない緊張感を好む読者にはおすすめです。
ダークなテーマや救いのない物語を好む人
『スマイリー』は希望や救済を全面に押し出す作品ではなく、人間の醜さや弱さ、狂気の果てにある現実を真正面から描いています。特に、「ベルセルク」や「鬼畜島」など、暗く重いテーマの中に見出される人間性や抗いを愛する人に響くでしょう。
複雑な人間関係や復讐劇を楽しみたい人
心笑会という教団が描き出す構図は、表面上の信仰と裏に潜む権力や個々のエゴ、そして犠牲になった人々の復讐心が絡み合う複雑な人間模様を浮き彫りにしています。『スマイリー』の核心である復讐劇は、「ヴィンランド・サガ」や「無限の住人」のように、壮絶なドラマを求める読者に特におすすめです。
社会的テーマや宗教・政治の暗部に興味がある人
心笑会は単なるフィクションの教団ではなく、現実社会における宗教や政治の闇を風刺するような存在でもあります。組織の異常性と、それに巻き込まれた人々の悲劇をリアルに描くこの作品は、そうした社会的テーマに興味を持つ読者にとって魅力的に映るでしょう。
結末まで引き込まれる完成度の高いストーリーを求める人
『スマイリー』の最終章は、すべての伏線が見事に回収され、登場人物たちの思惑が絡み合った末に迎えるクライマックスが圧倒的です。複雑でありながら綺麗にまとまった物語を好む人にはうってつけの作品です。
狂気と美しさが交錯する物語に惹かれる人
この作品では、狂気そのものが一種の美しさを伴っています。鴨目の静かな復讐心や笑光のカリスマ性に潜む狂気、そして信仰に支配された人々の姿が、狂おしいほどリアルで魅力的に描かれています。こうした「美しき狂気」に惹かれる人には必読の一冊です。
『スマイリー』は、読者の心をえぐるような重厚なストーリーと、その裏にある人間の深いドラマを楽しめる人に、ぜひ手に取ってほしい作品です。その狂気と感情の爆発が、きっと忘れられない読書体験を与えてくれるでしょう。
【スマイリー】ネットの声
風景みたいに描かれている人がのちのち伏線として繋がってきたり、とにかく読み応えがあります。実写化を希望します
教団内に蓄積していた軋みが広がり、鉄壁と思われた教団も音を立てて崩壊を始めようとするというストーリーで最狂
次回最終巻ということなので、これまで(作中人物だけでなく読者からも)大いにヘイトを集めてきた教団幹部の皆さんが、(読者目線で)どんなカタルシスを得られる末路を迎えてくれるのか、今から読むのが楽しみです。
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