泥濘(ぬかるみ)の食卓チョコ本格派禁断の恋愛サスペンス漫画。チョコの中に髪の毛を入れる怖いシーンがあったり、人間の嫌な部分を露骨に表現する闇がテーマになっているのか、心の深い描写が良く描かれています。
予想がつかない展開で話題になり、TVにも紹介された泥濘の食卓ですが、つまらないのか?面白いのか?今回は泥濘の食卓についてネタバレ感想レビューをしたいと思います。もしまだ読んでいないという方がいましたら気をつけて下さい。
泥濘の食卓あらすじ
『泥濘の食卓』 / 伊奈子
🆕最新話は本日配信🆕
第46話「かくしごと・後編」
美容師の親戚・あかりにヘアセットやメイクをしてもらった深愛。浮き足だったまま店長と合流するが、そこであることを告げられてーー。
第1話は無料公開中
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田舎町のスーパーで働く「深愛(みあ)」は、パート先の店長と不倫関係にあった。何のとりえもない自分に優しくしてくれる店長が大好きな深愛。しかし突然、別れを告げられる。理由は妻の鬱。家族の為に使う時間が必要で関係を続けられないという店長の言葉は耳に入らず、深愛が導き出した答えは、「私はやっぱり、店長と幸せになりたい」。その想いが一つの家庭を泥濘へと引きずり込む――。
泥濘の食卓面白いと思う3つの理由
因果な業の泥濘にスリルが満載なところ
主人公深愛と店長の不倫に始まり、店長の息子ハルキと深愛、ハルキと幼馴染のちふゆ、深愛と店長の妻の関係性が互いに纏わりつく、まるで泥濘の中にいるようなサスペンスドラマを成しています。深愛の柔らかな雰囲気からは想像もつかない行動で、いつの間にか店長の家庭は外堀を埋められていきますし、彼女自身を含め、関係者全員ががんじがらめになっていく展開は読者にスリルを感じさせます。
3人の若者の危うさと狂気
深愛は自己肯定感が低く、承認欲求から周囲への善行から渇愛に至り、やがてそれは他人の家の中にまでエスカレートしていきますが、当事者の1人であるハルキも父との不貞に気づきながらも深愛を求めて彼女の家に忍び込むようになります。そして彼の幼馴染のちふゆもハルキに執着し社会的に孤立させては学校から家庭内まで彼に執拗に張り付きます。ナイーブで子どもではないし大人にもなりきれない3人。3者3様の事情はありますが、その精神的な危うさ、異常行動が目を引きつけます。また彼らの背景にある環境も悲劇的で、あらゆる狂気がこの物語のスパイスになっています。
間違っていても愛があるところ
泥濘の食卓の中では、なかなか報われない愛の形が堂々巡りしています。それでもなお、不器用さを抱えながらも誰かを愛そうとするそれぞれの姿は切なくて印象的です。メインの男女(深愛、店長、ハルキ、ちふゆ)だけではなく、深愛の母、店長の妻なども含め、それぞれが愛に飢え、求め、傷つけ傷つく様は、昼ドラよりも繊細で重厚な群像劇として楽しめました。
泥濘の食卓つまらなかったと思う3つの理由
画面が見づらいため次の話を読むまでに飽きがきやすいところ
作風なのか、髪のツヤ、背景や影など随所に不規則なフリーハンドの線が多用され、デッサンも手や骨格などをはじめとして粗く、読む度に気になってしまいました。
重い内容の物語ですから、ハッキリとした見やすい絵柄で円滑に読めたら、飽きずに次の巻にページをめくれるのではないかと思います。
深愛の母親が看護士という設定がしっくりこないところ
サービスに厳しい現代において患者に接する現役の看護士が、我が子に面と向かって「かわいくない子ども大嫌い」、「あんたに似たらかわいそうでしょ子ども」と言う食卓は想像に難しいと感じました。
また、看護士のルックスも、現代はだいぶ若々しいはずなのですが、母親は一昔前に近い老け顔のピリピリした女性に描かれていて、違和感を感じました。そうでなければ母親は苦労が多く老けて見えるのかもしれません。
一部の髪型などどこかしら違和感や時代遅れな印象があるところ
まず気になったのはちふゆの髪型でした。現代の裕福な家の中高生がするにしては昭和のおかっぱスタイルのようであり、ボサボサで貧相に感じました。もしかしたら髪の毛を抜いては手作りお菓子に入れているからでしょうか。
店長にも違和感を持ちました。店長の髪型も巻を追うごとにわずかに変わりますが、食品を扱いながら清潔感がないと思いました。また、喫煙に厳しい現代で食品販売に携わりながら、不倫中に車でタバコを吸うなど、時代遅れの印象がありました。
また、パートの人や中年の人物のルックスにも違和感がありました。今時は若い見た目の人が多いはずなのに、一昔前のおじさん、おばさんのように描写されていたり、時代遅れの印象が否めませんでした。
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泥濘の食卓感想まとめ
泥濘の食卓は、愛に飢えた人々が愛を求めて、傷つけ合い、不器用になりながらも、心のままに突き進んでしまう人間ドラマではないでしょうか。
また深愛、ハルキ、ちふゆは子どもではないが大人にもなりきれない危うさを持ち、それが繊細な世界観を作っています。
傷つきやすいのに、誰かを傷つけてしまう。愛しているのに愛してくれない。そんな葛藤に揺れながら、歪んだ愛に溺れていく人々。
作品としては読みにくさや違和感、矛盾を感じる人もいるかもしれません。しかし、現代はナイーブで自己評価の低い若者や対話が減っている家庭も多くあり、この物語は私達現代に生きる者への警鐘となるかもしれません。このような作品に出会えて良かったと思います。
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