宮崎駿氏は、アニメ映画の監督として世界的に知られており、彼が初めて手掛けた監督作品は「ルパン三世 カリオストロの城」である。この映画は1979年12月15日に公開され、現在から見ると約38年半前のロードショーとなる。なぜカリオストロの城はジブリと一緒の括りにされることがあるのでしょうか?それらの謎を紐解いていきたいと思います。
カリオストロの城とは?
【今夜の金ロー】『ルパン三世 カリオストロの城』のスゴさhttps://t.co/5MFfWpoL9w
当時、一般的にはほぼ無名だった宮崎駿の長編初監督映画。すべて手描きで、着色も人力で行われた。時間のない中で宮崎の力が存分に発揮されており、日本のアニメ技術の高さを知る上で重要な作品の一つ。 pic.twitter.com/CC0nxOwSpA
— ライブドアニュース (@livedoornews) May 5, 2023
ヨーロッパの小国カリオストロ公国。偽札の噂が絶えないこの国へやって来たルパン三世は、悪漢に追われる1人の少女を助けるが、彼女は再び連れ去られてしまう。カリオストロ公国の大公家のひとり娘であった彼女は、強引に結婚を迫る伯爵によって城に幽閉されていたのだ。そして、ルパンは既に忍び込んでいた不二子の手引きで城に潜入する。
カリオストロの城はなぜ人気なのか?
アクションシーンが斬新
「カリオストロの城」に登場するアクションシーンは、どれもが緊迫感に満ち、斬新で魅力的です。しかも、そのアイデアが後に“再登場”することにも注目すべきでしょう。
例えば、印象的なルパンが城の屋根を連続で大ジャンプするシーンがありますが、冒頭のカジノ襲撃シーンを振り返ってみると、この大ジャンプと同様に、ルパンと次元が一緒に連続でジャンプをしていることに気付かされます。つまり、似たようなアクションが後にパワーアップして再登場しているのです。
これらの大ジャンプは、あまりにも非現実的であるために、冷静に考えると「ルパンは人間離れした無敵の存在なんだなあ」という観客の“安心”を招くという側面もあります。しかし、それはアニメーションの魅力のひとつでもあります。何度見ても飽きることのない『カリオストロの城』のアクションシーンは、その斬新なアイデアによって、観客の心を捉えることができるのです。
革命的なアニメショーンの動き
「カリオストロの城」の魅力は、物語の面白さだけではなく、アニメーションならではの絵と動きの面白さにもあります。当時はデジタル技術が存在せず、アニメーションはすべて手描きであり、着色まで人力で行われていました。しかし、制作期間の短さにもかかわらず、宮崎駿氏はアニメーターとしての力を存分に発揮し、省力化しながらも動かす場面は多くの作画枚数を費やし、漫画映画としての面白さを存分に見せてくれました。この点において、『カリ城』は日本のアニメーション技術の高さを知る上でも重要な作品の一つといえるでしょう。
映画には、モナコの国営カジノから大金を盗んで逃げるルパンと次元の息のあった逃走シーンから始まり、クラリスを追うカーチェイスやカリオストロ城の屋根の大ジャンプなど、誇張した漫画的な動きで楽しませる名シーンがたくさんあります。これらのシーンは、宮崎駿氏や大塚康生氏にとって、新しい表現を考える時間がなく、過去作で実験済の表現の再利用であったり、後輩アニメーターに東映動画時代から培ってきたアニメーション技法を伝授するためであったりもしました。それでも、面白い表現や成功した表現を詰め込んだ集大成やベスト盤のような作品となりました。
普段の生活では体験できない爽快感
映画は、普段の生活ではできないことを叶えてくれる娯楽のひとつである。そして、『カリオストロの城』は男の子の夢そのものであり、囚われた姫を救い出すというストーリーは、そのまま楽しく痛快な冒険物語として映像化されている。姫であるクラリスは、カリオストロ家のしきたりや、独裁者である伯爵による結婚強要などで自由を奪われていたが、大泥棒であるルパンと共に脱出し、大冒険を体験することができる。クラリスが抱える問題は、お姫様であるということではなく、社会のルールや価値観に縛られ、自分がやりたいことができないという現実である。そんな現実から逃げ出し、自由になれる物語は、誰もが憧れるものである。
また、ルパンのライバルである銭形警部も、この物語の中で大きな役割を果たす。彼は偽札作りの現場を見つけたが、カリオストロ公爵の人脈や国家間の事情により、一時は撤退を余儀なくされてしまう。しかし、不二子から「ルパンが相手なら天下御免で出動できるんでしょ?」という情報を受け取り、再び現場に戻ることができる。ルパンという長年のライバルがいるからこそ、銭形は大人の事情を取り払い、偽札作りの現場を明るみに出せた。現実ではなかなか解決できない問題が、ルパンというキャラクターを通じて、愉快痛快に解決される様子は、観る人たちにとっても爽快なものである。
本作で見せる優しき主人公ルパン
ルパン三世は、初期から中期にかけて、ハングリー精神にあふれた荒くれ者として描かれていました。しかしながら、『カリオストロの城』においては、そのイメージが一変しました。本作で描かれるルパンは、少女から命を救われ、その恩を返すような心優しい男性として描かれているのです。
このような性格の変化は、製作当時の世相に合わせた結果でもあると考えられます。当時の日本社会は、急速な経済成長があり、人々の意識も大きく変化していました。その一方で、社会問題も顕在化しており、若者たちの抗議活動も盛んになっていました。
このような時代の流れの中で、『カリオストロの城』は、荒々しい男性像から脱却し、心優しい男性像へと変化したのです。宮崎駿が製作にあたり、当時の世相や社会情勢を反映させたことにより、本作は社会的な共感を呼び、多くの人々に愛される作品となったのです。
ジブリとカリオストロの城の関係性!宮崎駿が初監督!
若き頃の宮崎駿の代表作
宮崎駿といえばジブリで有名。彼は「ルパン三世」のテレビアニメ第1シリーズに途中から参加し、各話の演出を務めていましたが、全話の演出を手掛けたのは、1978年の「未来少年コナン」が初めてでした。その後、1979年に高畑勲氏が演出したテレビアニメ「赤毛のアン」に場面設定・画面構成として参加していたが、16話以降は降板し、それは「ルパン三世 カリオストロの城」を手掛けるためであったとされています。
「ルパン三世」劇場版第2作の監督依頼を受けていた大塚康生氏は、当初の脚本に不満を持ち、スタッフ編成や書き直しに悩んでいたところ、宮崎駿氏から「ルパンの演出をやるの?」という電話があり、「一緒に考えてくれない?」と頼まれたとされます。宮崎氏は、「僕がやろうか……」と言ってくれ、公開約7か月前から制作に参加し、実質的な制作期間は約4か月半という、驚くほどの短期間で「ルパン三世 カリオストロの城」は制作されました。
大塚康生氏は、「恐らくその質の高さ/制作期間比では『カリオストロの城』は日本の長編アニメーション史上最短制作期間記録をマークしているのでは」と著書に書いています。
限られた時間の中でできた作品
「カリオストロの城」は、公開に間に合わなくなるため、後半は削除・変更されたシーンが多かったとされますが、その結果、100分という尺の中で一気に見せ切るテンポの良い娯楽活劇に仕上がったのかもしれません。宮崎氏自身は、あまりに過酷すぎる制作スケジュールに体力の限界を知ったと語り、その出来には満足していないようです。しかし、若き日の宮崎氏の熱気や勢いが溢れる「カリオストロの城」は、当時の宮崎氏が考える面白いものを詰め込んだとも言えます。公開直後は作品も宮崎氏も不遇な扱いを受けた時期があったものの、過酷な制作スケジュールの詳細を知るにつれ、完成したこと自体が驚きであり、後の宮崎氏にとっても、「ルパン三世」シリーズにとっても大きなターニングポイントとなったのは、奇跡としか言いようがありません。しかしそれも、宮崎氏を始めとするスタッフ全員が、限られた制作期間の中で最大限に努力したからこそ成し遂げたことでしょう。
物語自体は知っている人も多いだけに、緻密さとは異なるアニメーション表現としての絵や動きの面白さに注目して見ると、改めて「カリオストロの城」の魅力が再発見でき、何度でも見て飽きない理由の一端に気づくことができるでしょう。「カリオストロの城」は、後のアニメーション作品の創作に大きな影響を与えた作品のひとつであり、今なお多くの人々に愛され続けている名作と言えます。
違法サイトを利用すると危険!
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【人気】なぜ?カリオストロの城とジブリと関係性は?宮崎駿が映画監督作品?まとめ
カリオストロの城は、宮崎駿によるルパン三世シリーズの映画作品であり、アニメーション技術の高さや面白いアクション、物語の魅力が詰まった作品である。宮崎自身も過酷な制作スケジュールに苦しんだが、それでも若い宮崎の熱気や勢いにあふれ、完成した作品は宮崎のターニングポイントとなった。
物語では、ルパンがクラリス姫を救い出す冒険を通じて、社会のルールや勝手な価値観に縛られることのない自由な生き方を追求し、銭形警部もルパンとのライバル関係を通じて大人の事情を取っ払えることを学ぶ。また、宮崎が当時の世相に合わせてルパンの性格を変化させたことが、作品の特徴の一つとなっている。
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