竜とそばかすの姫が面白くないという意見が見られました。終盤の展開には賛否があります。
「時をかける少女」「サマーウォーズ」とヒットメーカーである細田守監督作品。
実際に鑑賞してネタバレありのレビューを紹介したいと思います。
本作をまだ見ていないという方はお気をつけください。
竜とそばかすの姫あらすじ
🎊発表🎊
放送を延期した
『#竜とそばかすの姫』
放送日決定
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
9月23日(金)#秋分の日
地上波初放送‼️
本編ノーカット‼️
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
楽しみにして頂いている方々
もう少しだけお待ち下さい🙇#竜そば pic.twitter.com/r6pCDAnq6F— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) July 15, 2022
主人公のすずは小さい時に母を亡くして、父と二人暮らしをしていました。母を亡くしてから生きる意味を見失って、父との生活もぎこちない生活を送っていました。ある時、全世界から50億人が集う仮想世界「U」に登録したことをきっかけに成長していく主人公の女子高生の物語です。
アバターによって自分の分身を登録して活動をする世界の中で、すずはベルというアバターを作り出します。「U」の世界では、本人の生体情報からアバターを自動で作り出すのですが、その姿は誰もが憧れるお姫様のような可憐な姿でした。仮想世界の中で歌姫としてその存在が広まっていき、すずは徐々に自信を付けていきます。
遂にコンサートが開かれるのだが、そこに竜と呼ばれる荒くれ者のアバターが乱入してしまいます。現場は大騒動になり、ライブが中止になってしまうのですが、すずは竜のことが気になり始めます。
竜のことを探してとうとう、居場所を突き止めるのですが、何やら彼が苦しんでいることに気づきます。二人の時間を過ごすうちにもっと竜のことが知りたくなるのですが、あまり自分のことを話してくれずに、すずを突き放してしまいます。
そんな折、竜の居場所が追手にばれてしまい、すずも関係を疑われてしまいます。
脚本が酷評はなぜ?
細田守監督の代表作である「時をかける少女」「サマーウォーズ」は奥寺佐渡子さんというプロの脚本家が入っています。これらの作品が好きで竜とそばかすの姫を鑑賞した人は違和感を覚えるかもしれません。
なぜなら本作は脚本監督をすべて細田守さんが担当されています。
監督:細田守
原作:細田守
脚本:細田守
企画:スタジオ地図
作画監督:青山浩行
CG作画監督:山下高明
音楽監督:岩崎太整
音楽:岩崎太整 ルドウィグ・フォシェル 坂東祐大
メインテーマ:millennium parade × Belle
制作:スタジオ地図
上記が竜とそばかすの姫の制作スタッフです。
監督、原作、脚本を1人で全てこなすのは至難の技。それを画期的なアニメーションで映像化させることは本当に難しいことだと思います。
しかし過去作品とどうしても比べがちになってしまう現状。
それでも圧巻の映像美や、歌の演出は素晴らしかった。
作品が面白いと思う3つの理由
酷評や賛否はありますが流石の細田守監督作品。圧倒的なビジュアルで感動を覚えました。
本作の魅力を3選紹介したいと思います。
歌の魅力
映画の上映前に話題にもなりましたが、上映直前まで主人公の声優が誰になるかは非公開になっていました。
予告映像で、映画の一部や歌の様子から高い歌唱力の声優に注目が集まっていました。
いざ、情報公開になってもまだ無名の中村佳穂さんが、声の主だということに誰もが驚きました。
本編の映像を見ても、その歌唱力には引き込まれるものがあり、主人公の内面や感情の動きを繊細に表現していました。中村さんの歌を楽しむ意味でも必見の価値がある映画です。
主人公を見守る周りに優しさ
幼いころに父子家庭となったすずを、幼馴染や近所の大人たちがいつも優しく見守っています。特に仲が良いのは同級生の別役弘香です。
すずは弘香には何でも話せる親友の関係です。現実の世界でも仮想世界でも常にすずの力強いサポート役です。仮想世界ですずのアバターが有名になるように歌の編曲やコーディネート等のプロモーション活動を一手にやってのける才能が有ります。
また、合唱隊の皆さんもすずをこっそり見守っています。実は内緒にしていますが、すずがベルの正体だと気づきながら、すずが困った時にはいつでも手を伸ばせるように傍に居てくれる存在です。すずが勇気を持って挑戦した時には全力で後押しをしてくれます。
すずが自信を育んで人のために行動を起こす姿
すずは元々歌うことが好きで明るい子でしたが、母を亡くした悲しみから塞ぎこんで居ました。自分と周りを比較して、一歩引いたところからものを見るように大人しくしていましたが、仮想世界で自信を付けていきます。
好きな歌を身元を隠して歌うことで、自分のコンプレックスと向き合うことなく、自分の感情を表現できるようになりました。
その歌声に注目があつまり一躍人気者になったすずですが、竜と出会い歌う事以上に、誰かを守りたい気持ちが自分にあることに気づきます。
竜が危機的状況にあることを知り、身元を隠してきたすずは彼を助けるために正体を明かすべきか選択を迫られる。
その葛藤が物語の面白さを加速させてくれます。
残念だったと思う3つの要素
サマーウォーズを思い返させる仮想現実の世界の物語。
鮮麗されたビジュアルに圧倒されましたが、残念だった点もあります。
描写の綺麗さゆえにじっくりと見たいが少し目まぐるしい
高知県を舞台に実際の風景の中にいるような素敵な自然が描かれています。川と豊かな緑に恵まれた土地にどこか懐かしさを感じます。その自然を懐かしんだり羨む余韻が個人的には足りないと感じました。
設定上、すずが同じような毎日から抜け出す流れである以上、あまり好ましくない希望かもしれませんが、もったいないと感じてしまいました。
吹奏楽やカヌーをする友人が登場するので河原や川の描写はもう少し工夫して欲しかったです。
急にすずがベルだと幼馴染にばれるが伏線がない
すずを見守っている幼馴染の一人に同級生の男の子がいます。
学校中の人気者で、母親のようにすずを気にかけてくれています。
この同級生はとにかく人気が高いので、すずを心配して声を掛けた場面が、告白の場面と勘違いされて同級生の女の子たちから反感を買ってしまうほどです。そんな王子様役の彼が、後半に突然すずがベルであることを問い詰めてきます。
伏線が全く無いだけに、無理やりな展開で少し興がそがれてしまいました。仮に、常に見守っていたから気づいたという理由だとしても、もう少し上手い流れが欲しかったです。
終わり方が急展開
竜を守るためにかばうシーンでは、すずの成長と自分の中にある母のような見守る力が自分にあると気づく大事なシーンです。
複雑な家庭にある竜だけに細かい描写は避けたのかもしれませんが、少し無理やりな解決方法に感じてしまいました。
また、伏線のひとつに父親とのわだかまりがあります。
母が亡くなってからぎこちない関係が続いていましたが、仲直りの場面が少しあっけらかんとしていました。
ずっとすずが心を開けずにいるのを無理をさせずに見守っていた感動のシーンです。
もう少し感傷に浸れるような演出が欲しかったです。お互いに長い時間会話を交わしていなかったためかもしれませんが、エンドロールで後日間を流したり今後の様子が見れたら嬉しかったです。
まとめ
総合評価はかなり高いです。動画サービスが始まってからすぐに見直しました。
残念な点について色々書きはしましたが、結論それ以上に面白い作品でした。
ベルの歌は何度繰り返し聞いても心地よいですし、気分を良くしてくれます。
音楽サイトから音楽自体もダウンロードしたほどです。また、描写される風景や映像がとても美しいのでまた見返したくなりました。
細田イズムも大多数の人には刺さらなかったかもしれませんが私はとても胸を打たれるシーンがありました。
都会で仕事しているためかこうした自然に憧れがあるからかもしれませんが、豊かな自然が良好な人間関係を築く礎にもなっていると感じました。
それぐらい自然の素晴らしさを感じられる画力です。そして、急な展開の多さに何か見落としがあったのか気になったからです。
女性の主人公ということもあり、ちょっとした機微の変化が成長の様子として描かれています。すずがそれぞれの場面でどのように感じて成長していったのかを、もう一度噛みしめながら見たいと思いました。
仮想世界のシーンがあるのでSFのような印象を持たれる方もいると思いますが、一人の女性が成長する物語として楽しむことができる、心が温かくなるメッセージが込められた作品です。
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